ASTRO: Advanced Science-Technology Research Organization
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中国の宇宙開発技術は、着実にステップUPを重ねている。一般に目立つロケット
打上げだけでなく、米ロに続き 軌道上での燃料補給の実験に成功したと言う。
4月に打上げられた中国初の宇宙貨物船の天舟1号は、中国最重量級の宇宙船で、
軌道周回中の宇宙船天舟2号と、自動ドッキング、続いての燃料補給にも成功した。
分離した後、それぞれ180度旋回しての2次ドッキングは、高難度の技術とする。
宇宙ステーション実現のカギとなる技術として、力を入れて進めてきたものだ。
4月に続き 6月には、2度目の実験に成功している。現在、ドッキングを解消し、
お互い 単独状態にあり、3度目のドッキングに備えている。
因みにこの 燃料補給作業は、数日を要する一連の29工程により完了するという、
極めて高度な作業と位置付けられている。
最近 打上げロケット長征の不首尾が続くが、2022年からは宇宙ステーション
「天宮」の運用開始を目指す中国の宇宙開発でのプレゼンスは高まるばかりだ。
<中国宇宙ステーションのイメージ図(2020年代)>
解説記事:軌道上極低温燃料再補給技術の概要と展望(2001)pdf
動画:天舟1号、天舟2号 ドッキングのハイライト(2分半)YT
動画:天舟1号、天舟2号 ドッキングの中継録画(22分半)YT
動画:天舟1号打上げCG(2分半)YT
動画:中国の宇宙開発ドキュメント(43分強)YT
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中国の惑星探査計画が、本格的に起動している。惑星での探査基地を想定し、長期
実験できる隔離施設 月宮一号 での365日実験に参加する被験者8名を選出した。
<月宮一号の前での被験者の大学院生 第1チーム 4名>
月宮一号は、専門的には 宇宙基地生命保障地上総合実験装置 という若干長い名称
の施設、2014年の開発だ。同年 被験者3名 105日隔離実験を実施している。
施設は総合棟1つと植物棟2つからなり、総合棟には、居住用居室、メンバー交流
と勤務の部屋、トイレ、ごみ処理・昆虫の部屋がある。野菜や昆虫は、食糧だ。
<月宮一号の全体図>
<施設内 個別ショット>
植物棟では、各種植物の成長状態に応じ環境条件を個別制御して、10種類以上の
穀物や野菜を育成し、施設内への酸素供給にも貢献する。
<植物ルーム>
中核となる装置は、生物再生生命維持システム。将来の有人惑星探査技術のカギと
なる。酸素、水、食料はバイオ技術により再生され、物資補給は殆ど不要だ。
<中国の考える生命維持システム>
今回の大学院生8名は2チームに分かれ、Aチームが60日、Bチームが200日間、
月宮内で生活し、その後 Aチームが更に105日間、合計365日暮らす計画だ。
同等施設は、日本には閉鎖環境適応訓練設備が筑波にある。これまでに4回の実験
を行った。中国に負けず、有人探査に宇宙飛行士を出せる様に進めて欲しいものだ。
<日本の閉鎖環境適応訓練設備の模型>
動画:CCTV報道 月面環境実験施設 月宮一号(2分強)YT
動画:JAXA 閉鎖環境適応訓練に関する説明会(1時間)YT
動画:NASA 2015年極限環境ミッション運用訓練 金井宇宙飛行士記者会見(24分強)YT
動画:ISS 植物工場実験(4分強)YT
2012年9月 大阪工業大学の超小型衛星 プロイテレスは、インド宇宙研究機構
のPSLVロケットにより打上げたが、残念ながら通信不具合で制御不能に陥った。
<プロイテレス>
その反省を活かした プロイテレス2号機 を、来年度のJAXA相乗りでの打上げ
を目指し、現在開発途上にある。田原教授が、全学横断で開発を取り纏める。
<田原教授>
<プロイテレス2号機 イメージ図>
最大の目玉は、このクラスでは世界初の動力飛行だ。通常は、成り行きの軌道投入
となるところ、推進装置を有する事で、軌道高度を選んで投入できる。
エンジンは、かの はやぶさ と同じ電気推進タイプのパルスプラズマスラスターと
名付けらる。これまで噴出口2基だったところ、7基構成とし パワーアップした。
<試験中のパルスプラズマスラスター>
<7基構成となったパルスプラズマスラスター>
推進材は、フッ素樹脂。太陽光パネルで発電した電気で、気化・噴出させて推力を
得る。これまで、高度1km程度だった軌道修正能力が、100kmまで向上した。
<パルスプラズマスラスターのイメージ図>
結果、30cmキューブから50cmキューブへサイズUP、質量も10kgから
50kgへと大型化した。
大学発の衛星開発では、通信や制御システム、軽量化素材など推進装置以外の技術
開発が多い中、大阪工業大学では、このコア技術に取り組む。成果を期待したい。
電気推進ロケットエンジンとは(教授 田原 弘一)pdf
プロイテレスの開発状況(2010年)pdf
プロイテレス2号機搭載用パルスプラズマスラスタについて(2015年)pdf
田原研究室HP
動画:プロジェクト紹介 開発ドキュメント(2013年 2分弱)YT
動画:超小型衛星プロイテレスの運用状況(2014年 20分)YT
動画:NASAのイオン推進開発紹介(2分強)YT
動画:はやぶさ2 イオンエンジンCG(33秒)YT
related blog link
小惑星衝突の危機に向けて、欧州がリードプロジェクトを進めている。まだ、緒に
ついた印象だが、アイデアだけの世界から、リアルな防御技術へ向けた一歩だろう。
当然思い付くのは破壊やコース変更だが、まだその規模の算出ができない。つまり、
どの程度のエネルギーをぶつければ、どんな結果になるかが予測できないのだ。
結果として派手な技術となるだろうが、それまでには地道な研究が必要だ。例えば、
まず小さなモノをぶつけて、その影響を計測する、そんな過程が必要だ。
この5月、日本で開催されたプラネタリー・ディフェンス・カンファレンスという
専門家会議で、NEOTωist(小惑星回転)プロジェクトなる発表があった。
この計画は、その名の通り、小惑星にインパクトを与えて回転させて、その影響を
測定しようというアイデアだ。
<NEOTωistイメージ図>
同じ質量のインパクトでも、回転だと、質量中心からできるだけ外側に当てる事で
大きな回転モーメントを与えられる。実は、この回転の方が測定しやすいのだ。
測定手法に起因する。距離が離れると、前後や上下などの小さな距離変位の測定は
難しいが、回転による反射光の変化、光の変化の方が測定し易いという訳だ。
<インパクトにより小惑星の輝度周期が変化する>
<NEOTωistに関連する実衛星の配置>
日頃のニュースよりも小粒な印象だが、技術開発は地道さが大切。小さな人工衛星
でも充分対応できる、こういうところにこそ、日本も技術で貢献したいものだ。
解説 天体の地球衝突問題とその対応(2017年) pdf
プラネタリー・ディフェンス・カンファレンス関連講演会のポスター pdf
動画:A Relatively Inexpensive Kinetic Impactor Demonstration Mission
Concept(スタート 2h22m53s)専門家会議より YT
動画:Design Study of a Kinetic Impactor Demonstration Mission Featuring
NEO Spin Change and Observer Sub-Spacecraft(スタート 2h37m36s)YT
動画:小惑星調査 Asteroid Impact Mission のイメージCG(6分半)YT
動画:NASA 恐竜絶滅時の小惑星衝突の再現実験(4分弱)YT
米国では軍事用の宇宙開発も行われ、余り表に出てこないが密かに実験されている。
最近、X37Bと呼ばれる無人シャトルが、2年の軌道実験を終え帰還している。
<X37B>
このX37Bでは、主なる用途を宇宙での実験としていたが、軍事衛星の打上げを
狙って、新しいプログラムが発表された。実験用スペースプレーン XS−1 だ。
<XS−1 Phantom Express >
構想そのものは、2013年頃より出ているが、この度 その共同開発先が決まり、
航空宇宙の雄 ボーイング社 がそれを勝ち取った。
その役割は、マッハ10超の速度で10日間の飛行が可能とする無人シャトルで、
1.3トン程の人工衛星を、1回当たり5億円以下の低コストで軌道投入する。
ロケットでもなく飛行機でもないハイブリット機という。本体シャトルは、宇宙圏
の入り口まで弾道飛行し、背負ったブースターが衛星を軌道へ投入する。
本体シャトルは、その後 大気圏に再突入し、地上の滑走路へ戻ってくる。そして、
直ぐに次の衛星投入の準備に掛かり、数時間で離陸していく。
なんとロケットエンジンは、スペースシャトルのメインエンジンだったAR−22
の改良版という。スペースシャトルでの実績を重視し、選定されたとの事だ。
<AR−22>
完成すれば軍事用途だけでなく、民間でも大いに期待できる。飛行速度マッハ10
というが実現すれば、旅客用途なら、東京−NYを1時間ほどで飛行できる。
<民間で開発が進むマッハ10旅客機 Skreemr >
宇宙へ行くには、やはりビジネスと繋げる事が重要だ。軍事技術ではあるが、発展
の可能性がある基礎部分は、米国の航空産業もボトムアップし、ビジネスへ繋がる。
動画:DARPA プロモーションCG(1分弱)YT
動画:X37B(2分半)YT
動画:NASA スペースシャトルのエンジン紹介(8分)YT
動画:GeoBeats報道 Skreemr (1分)YT
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